「パワーボイスってなんなんだ?」4.発声のためのストレッチ

人間の身体というのは動きますよね。
こやって、いまわたしが動いてますけど、これはどこが動かそうとしてるのか?
どこやと思いはります?

あ! 脳みそ!
脳みそから信号送るわけなんですね。
そうなんです。

脳みそがいま信号だしてます。
でも、その脳みそが信号だす前に、わたしがこうやって手を振って足を振って
何かしたいなあと思う『気持ち』ってのがあるんですね。
で、その『気持ち』ってのはどこかっていうと、心からくるんですね。
じゃ、その心ってどこ? 心も脳?
脳にも心はありますね。でもハートは? ハートにも心はありますね。
ところが実は、全ての細胞に心は入ってます。

心ってどういうものか?

昔からよく生理実験、要するに生物の実験みたいなやつやねんけども、人間の
身体とか動物の身体の一部分をぴって取ります。
それをずーっと培養しとく。
要するに育てていく能力ってあるんです。
で、その育てていく能力っていうのがあるんですけれども、最近ではそれを上
手に育ててIPS細胞を作ったりとか、いろんなコピーをしたりとかして、それで
自分の兄弟みたいなのを作っちゃったり、山羊なんかもうずいぶん昔にクロー
ン山羊いうのができてます。あれは細胞からもう一個作れるんですよ。全然別の、
双子みたいなヤツを。
そういう技術がもうあるわけですね。

じゃあ、何?
クローンの山羊には心はないでしょうか?

彼ら、お腹がすいたらむしゃむしゃって、エサ探しだして食べにきます。
お腹すくから。

心あるんですよ!

もっというと、昔からある実験なんですけれども、、、草木があります。
草木に電極を付けます。
あのウソ発見器みたいなヤツです。
それをピッピッって葉っぱに付けまして、その草木に火を近づけるんですね。
マッチとか、ライターの火を。
そうするとその電極の反応から人は、草木は熱をもらったから電気の通りがよ
くなったんだなって最初は思うんですが、ところが次の実験ではその木の前で
「これはライター、火です」って言って、「さあ、この火でお前を燃やしてや
ろう、火をつけてやろう!」なんて言うでしょ。
そうしたら、そう言っただけで実際に火は近づけてないのにまた電極が反応す
るんです。

すなわち、これでどうやら植物の葉っぱにも心があるんだな、っていうのがわ
かったという、そういう有名な実験です。

わたしたちの身体、哺乳類の実験にもそういうのはいっぱいあります。
で、そういうなかで、(その細胞には)口は無い、声は出せない、だけれども
わたしたちの身体の細胞を培養してるところにある刺激を送ると電気の通りが
よくなっちゃう、すなわちこれどういうことを言ってるのかというと、別に脳
みそや心臓だけじゃなくても、身体の全てのところに心は宿る、という、そう
いうことです。

一寸の虫にも五分の魂、ってよく言うでしょ。
一個の細胞にもすごく小さな心がある。
だからわたしたちの身体っていうのは、パーツが集まったら集まった分の心が
あります。

ですからまず心があって、それが脳みそに刺激を与えて、さあ身体を動かしま
しょうってやるわけです。

さ、動いてます、いま。
じゃ、声も出しましょうか。ランララララン♪ ララランラランララン♪

わたしがずーっと身体を動かさないでいます。
そやなあ、、、1年動かさないでおきます。
1年声を出さないでおきます。
とりあえず、エサはいただけて、トイレは自動的にやっていただけたとします。

いわゆる寝たきりの状態で1年経ったとしたらもうガリガリに痩せてます。
いまのこの歳ですと、完璧に。
今日、若い方もいらしてくれてるけど、みなさんの年でも1年動けへんかったら
ガリガリになります。

宇宙飛行士がほんのひと月、重力のない宇宙に行って帰ってきたらやっぱりガリ
ガリになってるのと一緒です。

ここにいるだけで重力ってかかってるから、これは逆に言うと、わたしがいま
70キロくらいありますから、ただ立ってるだけで身体全体の70キロを自分の
足腰が支えてるわけでしょ。70キロの筋トレを立ってる間はずっとやってるわ
けです。
ところが、それがなくなったら、筋肉はあっというまに痩せるねん。
で、それで身体は委縮します。
身体というのは、いつも使っておいてやらないとけっこうすぐにその働きをなく
するということなんです。

でも不思議なことに、じゃあ動かすよ! 心をもって、脳をもって、信号刺激だ
して動かしてます。これ、、、動き出しました。動くと、「これ動いてるよ動い
てるよ」ってフィードバックが脳のほうに返ってきてるんです。そうするとん脳
は慣れます。身体もなれます。するとラクに身体が動かせる、これを『慣れる』
といいますけれども、何かに対して『慣れる』状態ができてくるわけです。

さあ、そしたらこの腹式呼吸。
これもいつもやって『慣れる』ということをやっといてあげると、ラクに声は出
やすくなるわけなんです。

でも、それだけやってればいいかというと、もっと身体のいろんなところを動か
しておいてあげると、ますます声は出やすくなるということなんですね。

まず、腹式呼吸であっても胸は広げましょうってことがひとつ。
やっぱりお腹の回りだけ鍛えられたらそれでいいってことはないわけで、やっぱり
肺が入ってるのは胸ですから、いつもこういう風に胸を広げて。
ストレッチのやり方はいろいろありますから、人それぞれ、いまの自分に無理のない
1番ラクな方法でいいですから自分で工夫して身体を動かす。

人間の筋肉の中でもコアマッスル、なんていうんですけれども、コア、身体の中心、
真ん中って意味ですけれども、ここらへんはとても大切になります。
身体のまんなかの筋肉がなぜ大切かっていうと、これまっすぐにしてないと姿勢よく
なりません。
カッコよくないし、きれいになりません。

で、姿勢をよくすることで何がいいの?

肺がじゅうぶん広がりやすくなります。
それをきっちりするためいには、ここに書いてます、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、
そして横隔膜と。
このあたりの筋肉をしゃっきり、ちゃんとやっておくことで人間というのは元気に
歩いたり動いたり、また息を吸って声を出す、ということができることになります。
腹横筋の中のひとつで大腰筋、背骨と脚のくっついてる筋肉というのがあります。

脊椎がこうあります。
ここ、あばら骨のいちばん最後のところです。
このあばら骨の一番最後のとおころ、それからこのちょうど大腿、太ももですね、
その内側の間でつながっている筋肉があるんですけれども、ここなんかもアウトに
なってくると足があがらなくなってきますから、よくひっかけたり、つんのめって
ひっくり返ってコケたりするっていう、そういう筋肉ですね。
これ危ないです。

で、もうひとつ大切なのが、その大腰筋の横に腸骨筋という、こういう、やっぱり
脚と腸骨。腸骨っていうのは骨盤のあたりですね。その骨盤の内側からこの太ももの
内側についてる筋肉なんですけれども、このあたりの筋肉も鍛えておくと、不思議と
腹式呼吸をちゃんとやっていくにはラクになります。

どんなストレッチがあるの? というと、
いろんなストレッチがありますが、

まあ、足を上げまして、こんな風な回し方をします。
股関節がやわらかくないとだめなんですが、こういうことを頻繁にやっておきますと
ここの筋肉っていうのは鍛えられます。
おなじように反対側もやります。

それで、ここらへんをやわらかくするだけじゃなくて、ある程度元気にさせとくため
にっていうと、こういうスクワットっていうやつですね。
で、急にやるとこわいんで、ちょうどこういう椅子に座る感じで、こんな風にやるのも
ありです。
あとは、こういう壁にもたれてやるのもありです。
ところが、脚がこういう角度になると膝に負担がかかるので、お膝はなるだけ90度に
なるようにしてお尻をでっちりにしてやるほうがいいっていわれています。

そんな感じでね、このあたり(腰回り、お腹周り)の筋肉もストレッチをやったり、筋
トレをやったりすると、丹田を出して喉を下げる、っていったときに、一緒に連動して
動いてくる筋肉がいっぱいあるんです。
だから、そんなところで、声が出しやすくなる、っていうのもあるってことです。