「歌の世界をもっと豊かに拡げる方法」1.まずは譜面に忠実に
パワーボイスセミナー 第71回
「歌の世界をもっと豊かに拡げる方法」
歌には自分の声以外にも使える音がいっぱいあります。
歌を歌うときに、最初は音をハズさずに歌おうとかリズムをちゃんと感じて歌おう
ということをみなさん一生懸命にしがちです。
もちろん、それは大切なことですが、しかし、それだけできれば素晴らしい歌が
歌えるのでしょうか?
歌の世界はただ「いまそこにある音」だけの塊ではありません。
自分自身の夢を、音を使って声を使って現実化することができる魔法の世界です。
では、その魔法の世界をつくるためにわたしたちは何を表現すればよいのでしょうか?
今回は音楽を作る全ての奏者(歌手はもちろん、器楽奏者、伴奏者も含む)の音の
組立て方から学んで音を厚くする方法を勉強します。
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はい、みなさんこんにちは!
大北メディカルクリニックの松永です。
今日はテーマを「歌の世界をもっと豊かに拡げる方法」と題しました。
それはどういうこっちゃねん、歌の世界を広げるゆうたってどんなふうに広げ
るのか。
これまでわたしたちは実際にここで筋トレもしたし、筋肉の体操もしました。
物理的に身体をどう使うのかというようなトレーニングもみなさんとさせて
いただいたんですけれども、じゃあ今日はいったいどこをどういうふうに広げ
るのかっていうお話なんですね。
歌の世界をどんどん豊かに広げる。
どんなふうに広げるかということなんですけれども、ひとつの曲というか、
ひとつの音楽の世界というのは、単音ではなく、いくつかの音が重なり合って
それで音楽、曲というのができてきますよね。
大体このピアノみたいな楽器は指が10本あるから最高10個の音が出せる
わけですよ。
でも歌を歌うときって、自分の声はひとつだから1個しか音だされへん。
じゃあ、声だすとき、歌を歌うときには1個の音しかだせないから、どんなに
がんばったってピアノの音にはかなわないのかな、ギターにはかなわないのかな。
人間の声に近いといわれる楽器といったらトランペットとかクラリネットとか
木管、金管とかね。単音一個しか出ない楽器っていっぱいあるわけなんですけ
れども、まあそんなのとおなじようにして、声ってひとつしか音が出ないから
面白くないのかな、なんて思いがちねんですね。
ところが、たった1個の音(声)でも感動することってありますよね?
アカペラ、なんていって無伴奏で自分の声だけで歌うとき、人はやっぱり伴奏
がないとなんかツライなあとか、人間の声だけだとちょっとさみしいなとか、
もちろんそういうようなときもあろうとは思うんですけれども、でもほんとに
いい歌だったら、伴奏がなくっても、自分の声だけでもお客さんがすごく感動
してくれるし、みんながすごく喜んでくれるってことは十分あろうかと思うん
ですね。
じゃあ、自分のひとつだけの声。
それだけでもみなさんがすごくノッテくれるときと、そうでないときがあるの
はなんでなんか? という、そういうお話なんです、今日の話は。
だから、「歌の世界をもっと豊かに拡げる方法」とありますが、実はこれは歌
だけのことじゃなくて、楽器を演奏するとき、どんな音楽をやるときにも共通
しているんですけれども、でも特にお声を使って歌を歌うときに、声のレンジ
を広げる、って物理的にはいうんですね。
声のレンジを広げるってどういうことかというと、たとえば今日の課題曲は、
森山良子さんが昭和42年におつくりになりました『この広い野原いっぱい』。
わたしが7歳のときの歌です、これ。
ですから、かれこれ50年くらい前の曲なんですけれども、「このひろーい、
野原いっぱい♪」って歌があります。
この曲をご存じない方、手を挙げていただいていいですか?
あっ! 若手はやっぱり知らへんねえ・・・(笑)
この曲、どういう曲かというと、まずメロディラインがすごくシンプルできれい
で、わかりやすいということと、まあ実際問題、昨今の歌というものが残念な
ことに、あまり深みを持った歌が少ないとゆうのもあって、ちょっとこの古い
歌を引っぱりだしてきました。
この歌を題材に今日は話を進めていこうと思います。
この広い野原いっぱい 咲く花を
ひとつ残らず あなたにあげる
なんかねえ、誰かが誰かのことをすごく大好きになったんでしょうね。それで
赤いリボンの 花束にして
ってわけですよ。
で、2番3番4番ってあるんですよ。
わたしもこれ1番しか知らへんかったんんですね。
「この広い野原いっぱい」っていうから野原だけかと思ったらあとに夜空もあ
ります、広い海もあります、もう世界中の何もかもあなたにあげると。
だからわたしに手紙を書いて、っていうんですね。
なんかね、ちょっとね、、、、
どう、こんな子に「ラブレター書いて!」っていわれたら?
ちょっと引く?
> いやあ、でも、書くと思います。
お! なるほどね!
でも、ある意味うれしいよね、ここまで言われたら。
だから、このー、何もかもあげるって言ってくれてるような人の歌を、どう歌
ったらいいのかな? という、そういう話ですね。
でね、「どう歌えばいいのか」っていうのはね、実は誰にも決められません。
みなさんがどう歌いたいか、ってのがポイントなんですね。
だけれども、「こんなふうに歌いたいねん!」「こんなふうに歌いたい!」と
思ってみなさんがおもわれたとしても、ですよ。
やっぱり「こんな歌い方もあったのか」とか、「えっ? ぼく(わたし)にこん
な声が出るようになったのか!」っていうふうに、どんどん成長してゆくとね、
すごくそれってうれしい話だと思うんですね。
じゃあ、どうやったら自分の声をそんなふうに広げられるのかという、
そういうお話なわけです。
まず、すごくシンプルに歌わせていただきます。
まあちょっと僭越なんですが、まずこれは何も考えずに、この譜面だけを軽く歌
ってみるとどんな感じになるのか。というのを。
音だけズレると嫌なので、ちょっと音出しながらやってみますね。
Dr.松永ちょっと歌う。(うーん、ちょっとセンセイ音痴なような…by 筆者)
で、これ、みなさん大概、歌の勉強をするときって、よくヘッドフォンしてCD
とかレコードとか、誰かの音源を聴いて勉強しようってやりがちです。
ところがね、それやっちゃうとすごく便利な半面、悪いところがあります。
やっぱりこれ、譜面をちゃんと見ると、1番最初のオリジナルの音を勉強しやす
くなる。たとえば誰かが歌ってる歌を聴いてしまうと、これが譜面の音だとして
その歌い手はちょっとフェイクしたりズラしたりしながら歌ってたりすることあ
るわけなんですね。
そしたら、それ聴いて勉強したら、その歌い手の癖をそのままもらっちゃうこと
になります。
ですから、譜面を見て歌う勉強をすることで、たとえば森山良子さんがこの譜面
にはこう書いてるのに、実際は自分ではちょっと違うように歌っている、という
のにもし気づくことがあったとしたら、その違いがわかるのもこのオリジナルの
譜面をまず勉強すればこそわかることなんですね。
だからまずはオリジナルの譜面を見て勉強してほしいのと同時に、たとえばレコ
ード、CD、いろんなところでいろんな音源が飛び交っているんですけれども、
音源ってさ、その人が生で、なんの伴奏もなく、ストーンと謳ってるのなんてあ
んまり売ってないでしょ?
やっぱりそこにオケがついたり、いろんな効果音、エフェクターって機械を通し
た加工された音になってるものが作品、商品として売ってるわけです。
それを聴いちゃってると、実際はこんな音出そうと思っても出されへんのに、
歪んだ音(声)を聴いたら、それをそのままコピーしようとしてしまう。
人間の脳みそって実はよくできているようですごくシンプルで、もうなんでもか
んでも真似しようって機能も入ってたりするんですよ。
だからたとえば、「このひろーい」って書いてるのが、なんかのホワイトノイズ
で加工されて、シャーっと変にシャウトしてるような、声を枯らしたような声で
歌ってるが聴こえてきちゃったら、脳は知らないあいだにそれを覚えてしまうか
ら、「このひろーい」ってクリアに歌いたいのを、しゃがれた変な声で歌ってし
まうことになるんです。
そしたら知らないあいだに自分で自分の喉に力を入れて、それでだんだん喉がや
られていく、ということがあります。