「ボイスチェック、ソングチェック」Part 9 /2.黒いオルフェ
そしたらこんどはある意味、棒読みで読まれましたね。
講談師ではないからそんなに朗々とやらなくてもいいんですけど、
ちゃんとイメージをつけて、抑揚をつけてやりましょう。
Aさん、ふたたび朗読する
ああ、ええやないですか!
なんかちょっとカッコよくなってきました。
じゃあこんどは伴奏なしで、ご自身のキーでアカペラでやってみて。
Aさん、歌う
はい、オッケー!
そしたらこんどはね、さっき朗読してくださいましたでしょ?
ちょっと言ってみて。
そう! それくらいの感じで、そのピッチで、その高さで
あーおーいー つきーよーのー と、、、ちょっと低めですわ。
さっき朗読してもらいましたよね?
歌ったとたんにかまえてしまうんだけど、かまえないで、あの感じで、
ふつうに、喋ってるかのごとく自然にやってみましょう。
じゃあ、こんどはぜんぜん高さを出さずにいってみましょう。
あおいー つきよのー はまべにはー
おやをー なくしてー なくとりがー
そうです! それ!
では、こんどは腹式呼吸の勉強です。
おへそどこですか?
はい、おへそのちょっと下。
わたしの指をお腹で押し返してください。
そう。で、押し返しながら「はー」って言ってー
次は指を押し返しながら歌ってみます。
こんな感じです。
やってみて。
あおいー つきよのー はまべにはー
おやをー なくしてー なくとりがー
そうです。そんな感じ。
ここもういっぺん、ひとりでやってみて。
あおいー つきよのー はまべにはー
おやをー なくしてー なくとりがー
OKです!
その感じで、こんどはちょっとメロディーつけて
やってみてください。はい、どうぞ!
あおいー つきよのー はーまべーにはー
おやをー なくしてー なくとーりーがー
なーみのー くにーからー うーまれーでるー
ぬーれたー つばーさのー ぎんのーいろー
どう? どない? 歌いにくい?
歌いやすいですけれど、、、
これが歌ですわ!
あのね、だから変にピッチをメロディーをととりにいって
声楽チックにやっちゃうと、それけっこうキツイのよ。
だから自分が朗読をして、歌の世界を相手に伝えるのに
どこらへんがいちばん喋りやすいのか、、、ねえ!
それをまず知らんことにはピッチって実は探されへんのですよ。
だからまずそれを探していただいて、やる! っていうのが
ひとつの方法です。
じゃいったん、休憩。
ハイ、次の人どうぞ。
じゃ、ちょっよ軽く歌ってみてください。
ボソボソ弾いときます。
I’ll sing to the sun in the sky,
I’ll sing till the sun rises high,
・・・なるほど。
いっしょうけんめい練習してこられたんですか?
これはお好きなお歌?
ちょっと苦手なんです。
このサビのところがすごい喉が疲れる
ああ、なるほど。
じゃあ実はもうちょい実は音下げてもええのかもしれへんすよ。
じゃあ、まずいっぺん朗読してみてください。どうぞ。
I’ll sing to the sun in the sky,
I’ll sing till the sun rises high,
Carnival time is here,
Magical time of year,
And as the time draws near,
Dreams lift my heart
はい。まずこの出だしの「 I 」ってありますよね?
ここの歌い方なんですけど、ちょっとここを解剖しますね。
出だしをどうやったらラクに歌えるかというのをね。
この I’ll sing ってあたりの、、、
うーん、、、そやな、2小節くらい歌ってくれます?
Bさん、歌う
はい、ありがとうございます!
でね、この I のアイってありますでしょ?
声だすって「アイ」って声だすわけじゃないですか。
ところがね、意外とね、アイルシー、、、なんてやったらさ、
すごいプッシュしてさ、押して押してになるから、
喉が詰まることが多いんですねえ、特にド頭のところ、
歌詞のいちばん頭は。
ここんところってちょっとハァーって引くつもり、
でも息吸ったら歌えませんからね。
そうじゃなくて、これはどう意味かというと、
引くくらいの感じにするとね、
絵で描くと、こんなふうにお口がありまして、
歯ってこんなふうになってるんですよね。
で、ここに舌ってのがあります。
この舌の位置をね、自分で鏡見て、よーく見てほしいんです。
そのときに、「あ!」って声だすときに、あ!ってやっちゃうと
喉にも力が入るし、口の中が狭くなって、
これ頭から歌にならへんようになるんですわ。
ところがここにね、イメージとして、自分のゲンコがひとつ入るくらいの
気持ちで、ポカっと口をあけてやって、息を吸い込むくらいの気持ちになって
I’ll ってやるつもりの口の構えを作っといて I’ll ってやるとね、
喉の詰まりが減るんですよ。
だからさっきの浜千鳥も実はそうなんですけどね。
そこまではまだ言わへんからね。
だからそういう感じで、アイル、ってやらないで
もっとやわらかい感じで I’ll sing to the sun って、、、
そうそう! そんな感じ!
そうやると出だしがラクになるんです。
ラクラクラク・・・!
で、ラクになるだけで、そのあと乗っかっていきやすくなるから
ちょっとカッコつきます!
ああー、なるほどなるほどー
それで、ゆっくりでいいです。
ごめんなさい、こんどまたアカペラでやってもらうんですけど、
I’ll sing to the sun in the sky っていうのを
最初だけ飲む感じでやってみて。どうぞ。