母音と子音の発声の違い4.母音の持つエネルギーの流れを知って話す、歌う。

次、や行、「やいゆえよ」の「い」と「え」の発音はほんとうは今の発音じゃない。
昔の発音は私は下手でできませんが、ほんとうはこの中に5つの母音以外の母音が隠れているときもあるそうです。
や行についていうと、いまの現代語よりは古語にゆずるものが多い。

そして、ら行は、現代では外来語で使うことが非常に多い。
R音というのは巻き舌の音。
「らりるれろ」の音は曖昧な表現に使うことができる。
ランラン、とか、ルンルン、とか、曖昧ではあるけれど跳ねるような、楽しい感じ。
風鈴(ふうりん)、のように響きのある音。

「わいうえお」となると、これも古語に近い。

ここまで、KSTNMRの音についてはこんな感じですがとっておいたHの音はどうでしょうか。
Hはフランス語ではほとんど出さない。
「はひふへほ」は笑い声の音ですね。
笑うときというのは人間、緊張がない。
風の流れの音。
エネルギーを風のごとく流す、といった感じでHの音は軽めだけど動きを表す音です。

さて、こんなふうにして先人たちは母音と子音を非常に上手に使って日本語を形作ってきたわけですが、ここで私が音韻論について話すときに好きな『赤とんぼ』と、それとは対照的な『ずいずいずっころばし』の唄を例にあげて話してみましょう。

~ 中略 ~

・・・というふうに、母音には、それぞれのエネルギーの流れとか、その感じ方というのがあるわけです。

「あいうえお」は、実は「いえあおう」であって、それぞれの中にこのエネルギーを表現しているのだということをご理解していただけたらうれしいし、それを知ったうえで話したり、また歌ったりしていただけますと、歌の持つオリジナルのパワーがとても活かせるんですね。

ですから、これから人前で歌ったり原稿を読んだりというときにいちど正しい母音が、自分のイメージする母音がそこにハマってるかどうか確認してやっていただくと自分の思っていることがどんどん人に伝わりやすくなる、
というのが、今回のセミナーでした。