「大きな声で歌いたい」2.喉をひらく練習
喉頭の甲状軟骨のまん真ん中に『声帯』という粘膜があります。
ところがこれ粘膜なんですけれども、粘膜の中には筋肉が走っています。
声帯の中にある筋肉だから『声帯筋』といいます。
この声帯筋、だいたい60過ぎると痩せてきます。
粘膜のほうは50過ぎるとちょっと乾きやすくなります。
50過ぎると女の人は女性ホルモン、男性は男性ホルモン、性ホルモンといわれるものが出にくくなってきます。
これが出にくくなってくると声帯の粘膜が乾きやすくなってしまうんです。
するとどうなるかというと、イキのいいプリプリっとしたお魚のお刺身なんかにくらべると、回る寿司を三回転くらいしてきたイカみたいな感じ、というか・・・・
そういうちょっと乾燥の多い粘膜になっちゃうんですね。
ではそのプリプリっとした粘膜を取り戻したかったらどうしたらいいかというと、うちで出してるコラーゲン、スリープタイムコラーゲンとかね、質のいいコラーゲンをしっかり飲んでいただくことである程度、改善できます。
お薬には、唾液をたくさん出してくれるお薬が、漢方でも西洋新薬でもあります。
そういうのを飲んでいただくと少しはプリっとします。
でも粘膜がいくらプリっとしても、中を走っている筋肉が痩せてくるとちょっとツライんですね。
60過ぎてくるとちょっとキツイです。
ですからそういう場合には、声帯の筋肉を鍛える筋トレがありますから、それを後でちょっとやらせていただきたいと思います。
でも痩せてる声帯もキツイですが、腫れてる声帯もキツイです。
何をしたら声帯がそんなふうに腫れてしまうのか?
といったら、毎日毎日魚屋で「いらっしゃいいらっしゃい」と声帯に力を入れてダミ声で売り口上なんかをやっていたら、やっぱり声帯は腫れてしまいます。
そういうとき声帯をちょっと落ち着かせて、歌うための声帯で「イワシ三匹~」とやろうとするなら、そういうときはお咽喉の薬とか吸入が必要だったりします。
ところが、何度もいいますがタバコたくさん吸っている人、毎晩お酒飲みながら、酔っぱらったらすぐに寝る人、寝ている間にお酒とか胃酸が上に上がってきて、それで喉がただれたりします。
そういう人は、そういう生活をなんとかしない限り喉はよくならない。
そして、なかなかよくならないということだと、やっぱり耳鼻科に来てもらわないことにはしかたがありません。
そして声が出ない最後の理由。
声帯はきれい、肺にも空気はじゅうぶんある、肺から出してくる空気の力もいい、喉にも変な力をいれてない。
けれども声が出しにくい、という人がいます。
なんでか。
『恥ずかしい・・・』とかね。
あんな遠いところまで声が届くわけない、と思いこんでいるとか。
そんなふうに変に意識にブロックがかかってしまうと、声を出したいのに出せなくなる、ということが生じてきます。
ですから、そういうブロックをはずすためには、どういうイメージトレーニングが必要か、とか。
以上、これらのことをきっちり4つやっていくと、大体のことができるようになるわけなんです。
ではまず最初に、声の通り道を広くするやり方からやっていきますね。
自然と声を出すことが大切なんですが、自然と声を出すことに長けているのはなーに?というと、それは人間で言うと赤ちゃんです。
彼らは大人にくらべたらたかだか3キロないし5キロの、大人の十分の一くらいなのに「オギャアオギャア!」とすごい声で泣きます。
では動物だったら何ですか?
犬! そうですね。
実は犬の声帯っていうのは私たち人間の声帯に近いんです。
そのワンちゃんの吠え方をやってみましょう。
まず四つん這いになって、この首と顔の姿勢がポイントです。
舌を犬みたいに出して、息を出して吐いて出して吐いてとやって、吐くときに「へ!へ!へ!・・・」と声を出してみてください。
これは喉に力が入ってないぶんラクで、意外と大きな声を出しやすい。
このときの喉の開いてるイメージを忘れないでいてほしいんです。
そして、そのときの息なんですけど、イメージとしては頭の後ろ側から鼻を回って出るみたいなイメージでやってあげるほうが、喉に力が入りにくくていいです。