地声で歌うっていいこと? 1.地声、裏声、まずは喉の仕組みを知ろう!
声の勉強をしていらっしゃる方の中には、歌う時には地声が基本とか、裏声を上手にしましょうだの、裏声を何割、地声を何割の状態でと、とても難しいことを習ってこられた方もいらっしゃると思います。
でも人間はそんなにたくさんの声を出すことができるのでしょうか?
今回のパワーボイスセミナーでは、世間で色々といわれている発声法についてのお話です。
果たして声帯をどのように使えばこれらの声を出せるのか?
またどのような発声法が声帯に無理がないのかについてお話しします。
よく地声で歌うことは良くないんじゃないかと思ってしまわれることがあるかと思いますが、そもそも歌声において声の呼び方に、地声、裏声などといいますが、ではなぜ表の声である地声に対して、高い声のことを裏声と呼ぶのでしょうか?
それにはまず皆さんには喉の仕組みを理解していただこうと思います。
これは実際の喉の約4倍の大きさです。
喉というのはこんなふうに首の中にあって、年じゅう上に上がったり下がったりしています。
それは食物を食べて飲みこむときに、食物をスムーズに食道に運ぶためですが、実はそれだけではありません。
人は高い声を出すときにも自然と喉がひゅーっと上がるようにできています。
実際にやってみましょう!
「ママママー」と少しづつ声をだ高くしながら発声してみてください。
どうですか? 喉が上がったのがわかりましたか?
喉が上がる、ということは、首の構造からいって細いところに上がっていくわけですから、声が高くなるほど喉が苦しくなってきます。
それを苦しくなく発声するには、いつもいっているように丹田に力を入れて外にふくらませて横隔膜を下げるようにすると苦しくなく高い声が出せるようになる。これをベルカントといいます。
また喉にあるメインのふたつの軟骨、甲状軟骨と輪状軟骨が上手に動きあって、ここに張っている声帯をピンと張ることで高い声が出せるし、またそれを緩めることで低い声が出しやすくなります。それが喉の仕組みです。
甲状軟骨と輪状軟骨が上手に動いて声帯がグン!と引き伸ばされたときに高い声が出るわけですが、それはバイオリンでもギターでも弦がピンと張っているよりは少し緩めのときに低い音が出て、ピンと張っているときに高い音が出るのと同じです。
ですからこの軟骨のコントロールとか、それ以外の顎、口、喉、首などそこらへんのコントロールで声帯の張り具合、緩め具合で、地声、裏声そしてその中間くらいのミドルボイス、ミックスボイスといわれる声が
出せると、我々声の研究者はいっているわけなんですが、そういった仕組みに関係なく、なんとなくやってたら出ちゃった、では面白くないわけですね(笑)
これをコントロールして出せるようになりたいわけです。
では、どうしたらいいのか?
甲状軟骨と輪状軟骨のことを話ましたが、それはまず置いといて今日のポイントはやっぱり何はなくてもベルカントです。
喉を下げておく、ってやつですね。
喉頭をぎゅっと下げてマ、マ、マ、マーと高い声を出していくと途中で音の質が変わります。音の形が変わってしまうその点のことを『換声点』といったり、『ブレイクポイント』といったり、イタリア語では『パッサージョ』といったりしますが、要はこの声が変わる点を上手にやってあげることで、まるで地声の部分と裏声の部分がひとつにつながって違いがないみたいに聞こえるんです。