「咳が止まらず声が出ない!」2.上咽頭・中咽頭・下咽頭のケア
透明だった鼻水が黄色くなったり緑色になってネバってきたら風邪もそろそろ治りかけ、なんていいます。
たしかに鼻がグシュグシュするような鼻風邪をひいたときは、まず鼻の奥にウィルスがやってきて、鼻の奥を荒らします。
とうぜん荒れているときは荒れてないときよりばい菌が住み安い環境になっています。
風邪のかかり始めでウイルスがやってきたばかりのとき鼻水は透明です。
ウイルスの次にばい菌がやってくるころになると、免疫力が働きだして最初のころより体調はましになってきます。
白血球やリンパ球がウィルスを殺しにいくわけです。
でもまだ、ばい菌はそこそこいっぱいいるので鼻水に色がついてきます。
では治りかけだから放っといていいのかといったら軽い鼻風邪だったらそれでもいいですけれど、やたらと色のついた鼻がでているのにそれを放っておくと、蓄膿、副鼻腔炎というのになります。
いったんそれになってしまうと、ほっぺの下の空洞、上顎洞に膿が溜まってくるんです。
そうなるとなんか痛い、頭が重たい、肩が凝る、もっとひどくなると鼻の中にポリープができたり、匂いがしなくなったり、一年中鼻詰まり声になったりします。
ですのでそこは、しばらく嫌な鼻水がつづくなと思ったら耳鼻科に行かれたらいいと思います。
そこまでいかずに鼻がじゅくじゅくして声がでにくいようなときは薬局に行ってこのような洗浄器を買って鼻うがいをするのもいいですが、ミネラル分の多い天然塩を洗面器の水に溶かして鼻をすすぐのを、1日に2~3回から4~5回やって、鼻の中をできるだけきれいにしてあげるのもいいです。
これは鼻や上咽頭を原因とする声の悪さのときには有効です。
ばい菌が血液に乗って身体中ぐるぐる駆け巡りますと敗血症になります。
こうなると免疫力はガタガタになります。
そうなる前に鼻の中で増えようとしているばい菌をちょっとでも減らす
には、洗い流すのが一番です。
そのとき鼻を洗う塩水の中にほんの少し(100ccの水だったら0.5%程度)
ポピドンヨード(イソジン)を入れるのは効果があります。
これが鼻で声が出なくて困っているときには1番いい方法です。
次は中咽頭。
中咽頭はどのあたりかというと、口をアーンと開けたときにちょっと見える扁桃腺のことです。
ここにもときどき白い膿がつくほど荒れているときがあります。
そういうときはポピドンヨードを使っていいです。
なぜなら、そうなるともうばい菌だらけだからです。
ところが、喉がちょっと赤いな、ちょっとしんどくなりそう、というようなときに濃いめポピドンヨードでガラガラうがいすると、返って悪くなるときのほうが多いです。
どうしてか。ポピドンヨードは本物の消消毒薬だからです。
消毒薬というのはいろんなばい菌を殺す代わりに、良い菌も殺してしまうからです。
消毒薬は我々にとって味方である常在菌まで殺してしまうので、返ってひどいばい菌が増えちゃうんです。
ですからふだんうがいをするのも塩がい、もしくは『アズレン』という青紫色の液体でうがいをするぶんにはそんなに喉が悪くなりません。
次は下咽頭に行ってみましょう。
ここは空気よりも胃酸、食べものと関わりが深いところです。
ここが急に痛くなるということは風邪ではそんなにありませんが、ここが急に痛くなるときというのは、お酒の飲み過ぎでゲーゲー吐いたようなときです。胃酸で喉がやられたんです。
胃酸で下咽頭だけがやられたのだったらまだ歌は歌えますが、寝ている間に逆流した胃酸が喉のあたりまできたり、鼻腔あたりや耳の奥あたりまでくることまであるんです。
ですから、いつも耳の調子が悪くて何やっても治らなかった人が、胃を治したら耳もケロッと治っちゃった、ということがあるくらいです。