「自分に合わない歌を歌うには?」4.ここまでのまとめ

歌詞を自分のなかに叩きこんだら、そのあとは毎度毎度言ってることですが基本は母音にあるんですね。

kokoe ku ru tohoo

ここへくると~

とありますが、この母音だけを拾います。
いちおう歌にはなるわけです。
子音だけでいこうとすると・・・歌えないんですね。
やっぱり歌を歌うためには喉を震わせるための母音が必要なんです。
で、この母音というのもリズムをいちばん表現してくれるし、それから音が高い低いといったときの喉のかたちをいちばん作ってくれるんです。

おおへううーおーーー

母音だけで歌うとこうです。
そこに子音をつけると

ここへくーるーとー

となります。

とにかく母音をしっかり発声することで歌が生まれて生きて躍動感が出て感情が乗りやすくなるんですね。

全然わからない歌詞とか、まったく聞いたことのない曲とか、オペラとかクラシックとか古い歌謡曲など、そういうのを歌うときにはもう何度もやらないとしかたがないってのがありますけど、オペレッタみたいな古い歌なんていうのは歴史の勉強もしなくちゃならない。ほんとに昔の階級社会の中で、小間使い、女中が急に女優に成りあがった感じでなんてありえないことなんですよ。そのありえないことをやるからこそみんな驚くしショックだし、でも逆に滑稽だったりする。そういうのはやっぱり勉強しないとわからない。
さっきのアリエルの話もそう。
我々、人魚に鳴ったことないやん。脚ついてるもん。
ところが脚ついてるわたしらが人魚になったらどうなるのや。
でも逆に海の中をスイスイ行けたらどうなるんだろう。って、ほんとにどれだけイメージできるかが、こういう芸術の世界のカギなんですね。

翼ひろげ~♪

という歌でも、我々には翼はあらへん。手しかあらへん。
でも自分の身体に翼があったら、タテガミがあったら、ないものをあるとイメージしてやっていくっていったときには、ほんとにもう思う、願う、それがすごい力になる。
ってまた逆に、そういう強い力を表現できるのが歌手としてはいい歌手ということになりますからね。