「ボイスチェック&ソングチェック」Part.9 No.1 アナザー・オリオン
今日はまず岡村さんから、『アナザー・オリオン』ていう藤井フミヤさんの歌ですね。
どうぞ。
岡村さん歌う。
Dr.松永:
オッケー! わかりました。じゃ、いまここで何からまず勉強するかっていうところからいきましょう。
まず1番めなんですけれども、最初テンポがわかんないっておっしゃってたんですよね?
音の進む時間の感じ方ですね、自分の。ね、これをまず必要としてると思います。
それから2番め。
これは誰にでもよくよく起こることなんですけれども、ピッチがブレちゃうんですね。
声がまだ喉の奥のほうに引っ込んじゃってるので、もっとはっきり前にでてくるようにするっていう、そこらへんくらいまでやれるだけでもだいぶ変わると思います。
3番めは発声そのもの。
この3つをちょっとやってみたいなあと思います。
ここでまず歌の勉強法についてちょっと訊きたいと思うんですよ。
いつもこういう曲をご自身で歌ってらっしゃるんですか、お一人
で。
岡村さん:
学校がありましてそこで・・・
Dr.松永:
ボイストレーニングの学校? へー
そのボイストレーニングの学校ではいつもどんなふうにいわれてますか?
岡村さん:
えーと、リズムと、テンポが変わるところでゆっくりになったりとか、走りすぎる癖があるので・・・・
Dr.松永:
ああ、なるほど。わかりました。
あと今日はこうやって譜面を持って来ていただいたわけなんですけれども、ふだんご自身が練習されるときは何で練習されてるの?
岡村さん:
カラオケですかね。カラオケの音を聴いて歌ってるんですけれど
ちょっと音がズレちゃう。
Dr.松永:
それはカラオケ屋さんに行ってってことですか?
例えばご自身で何か楽器を演奏しながら歌ってみるとか、そういうことはされますか?
岡村さん:
やらないですね。
楽器はできないです。
音楽経験がなくて。
Dr.松永:
ふだんのお仕事は何をしてらっしゃるんでしょう?
事務仕事をされてらっしゃる。ああ、なるほど。そうですか。
じゃあ、身体動かすことは少ないですか?
岡村さん:少ないですね
Dr.松永:
そうですか。なるほどねー。
音楽っていうのは、音を楽しむ、って書きますよね。
ところが日本の音楽教育っていうのは非常によくできてるんでいいんですけれども、音楽って楽しむ前にいろいろ覚えることがたくさんあるでしょう?
で、あまりにも覚えることがたくさんありすぎて、楽しむ前にう~ん、、、ってなっちゃうのが多いと。
だからまあ、カラオケ屋さんなんかに行って歌ったりして楽しむのもありなんですけども、最近はカラオケボトルみたいなのがTVでガンガンやってるもんでね、もうそのピッチが、とかタ
メが、とか、フェイクかけたりとか、何かこうすごくいろんなエフェクトをかけなきゃ高得点が取れません! ってな感じでなんかもうすごい変な文化がでてきちゃったんですよね。
でも基本ね、レコード、CDを聴いてそれを真似して歌う、っていうのは非常に一般的なやり方だと思います。でもそのやり方してると絶対に自分の歌は歌えないですね。うん。
だからとたえば「こんにちは!」ってうじゃないですか。そしたら「こんにちは!」って返しますよね?
それがじゃあ、例えばここがもしニューヨークだったとしましょう。「Hey Guys! Hello!」っていわれたとするでしょ。
もうあなたなんかは英語得意やからあれやけど、「Hello!」といわれたら「Hi!」とか「Hello!」とかいうやないですか。
ね。でもそれが自分のものになってないと「ハロー」って、なんだかすごくぎこちない感じになりますよね?
それとまったく一緒なんですね。
だから、自分は藤井フミヤじゃない、だけど藤井フミヤのCD聴いて、彼の声をしょっちゅう聴いて、たとえば彼もけっこう声の高い人だと思うんですけど、「夜空が夕焼けを~」って入ってきたときに、彼の声じゃないのに彼の声一生懸命聴いて、なんかそれ風に歌わなきゃっていったら、もうその瞬間に自分の声で歌を歌う、ってことから離れちゃってる。それだと諦めなきゃならなくなるんですよ。
だからね、やはり音楽を一生懸命勉強しようって人は鍵盤、これが一番便利だと思います。もう今日び1万円でほんとに簡単なキーボードなんかいっぱい売ってます。これぜひ買っていただきたい。
で、歌いたい曲の譜面見てちゃんと鍵盤弾いて、それに合わせて。まずやる。まあ、ざっくりはね、藤井フミヤさんのCD聴いていいと思うんです。DVD見ていいと思うんです。だけど、あとはこっちでやってかないと、もうぜんぜん声も詰まるし、
いろいろ(自分の声に)規制をかけちゃうんで難しくなっちゃうんですね。
さ、でね、テンポ、ってことについてなんですけど、この曲は途中でわーっと早くなったりする曲なんですか?
岡本さん:
いや、テンポは、いったんゆっくりになって、また元に戻るんです。
Dr.松永:
あー、なるほどね。そういうところがあるのか。
でも、そこらへんで、こういうひとつづつの勉強するときやっぱり手をたたきながらなんてよくやるじゃないですか。
よく、これね、1とー2とー3とー4とー1とー2とー3とー4とー、なんて、「と」ってやるでしょ。
でもこれね、ガッコンガッコンガッコンガッコンって、これやりやすいからやってるんですけど、音ってね、ほんとうはそういうふうじゃなくて、もうぐるんぐるん回ってるんですよ。
音って、なんとなくこう、ぐる~んって回ってるんです。
こんな感じでね。
で、そのまわってる中で4分の4拍子っていったら、このひと回りする音を1、2、3、4、1、2、3、4って感じてるんですね。8やったら、1、2、3、4、5、6、7、8、1、2、3、4、5、6、7、8ってこうなるわけですよ。
でもその4分の4拍子ってやつでも、8分の8拍子、16分の16拍子ってやつでもね、よく音楽の勉強するときに「裏を感じましょう」っていうんですよ。意味わかる?
うんタン!うんタン!うんタン!っていうのは、いま言ったこの音の回りをね、スムースに感じるようにしましょう、ってことなんですよ。
要するに、1、2、3、4、1、2、3、4だったら、ゴッツンガッツンゴッツンガッツン・・・ってなっちゃう。でも、裏を感じながらやるとこの回るのがすごくいい感じで回るようになるって、そういうことなんですよ。
だから極端な話、この4分の4拍子っていっても、もっともっと細かく感じる、裏どころか1拍を4つに分けて、4分の4拍子なんだけど16分の16拍子みたいに感じながら「タラタ~ン、タンタラン~タタラ~♪」みたいな感じで。
そこの中に細かいビブラートが入ったり、それからちょっとフェイクしてみたりとか、それですごくリズムに乗れるとすごい気持ちよくなって楽しくなるの。
うん、だから、そういうのをやるときにまず、これてテンポが早くなったり遅くなったりするっていうじゃないですか。
でも自分で練習されるときは4分の4拍子で、手をたたきながら1とー2とー3とー4とーくらい言いながらね(譜面見ながら)タンタ、タタタンタタンタンタン、ターアーアーアー、ウ!
タタアーって。わかるこれ?
そういうふうに(譜面に)書いてあんねんよ。
これなんて昔、音楽で習うんやけど、なんていうかわかります?
四分音符、八分音符、二分音符、全音符。
・・・・・・っていうふうに、音楽にはいろんな細かい約束事があるわけですよ。
でもやっぱりそういう基本形は覚えられたほうが、本気で歌を歌うんだったらぜったい楽しくなります。