「医学的腹式呼吸って、どんな呼吸?」4.腹式呼吸で息を吸うとき吐くとき
さて、呼吸をするときに大事なのは、息を吸うことよりも吐くことです。
ヨガとか瞑想するときなどは深くゆっくりした呼吸で深呼吸するわけですが、できれば息を吐くのは息を吸うときの4倍程度の長さでゆっくり少しづつ吐くのがいいといわれます。
息を吸うのと吐くのでは吐くのが主体です。
まずは息を吐かないことには息が入ってきませんから。
みなさんが歌を歌うときの腹式呼吸でよくやってしまう1番の間違いは、息を吐くときにお腹を凹ませて息を吐くことです。
では、実際にやってみましょう。
自分の右手を左の肩に置き、余った左手を臍下丹田を上に置きます。
これでまず、臍下丹田の上に置いた左手を押し返すように息を吸います。ハイ、お腹がふくらみました。
こんどは吐くときです。
ぜったい肩を上げないように、それは(肩に置いた)右手が感じてくれます。右手が肩を上がらないようにして、それでゆっくり吐きます。
そのときどうなるのか。
左手がグッと下がっちゃったら負けです。
左手はフーっと息を吐くのにあわせて徐々に徐々に凹んできます。
ここがまたポイントです。
さあ、お腹の空気が無くなりました。
また息を吸いましょう。ふー
さて、ここでいま肩が上がった人、残念でした。
吸うときもぜったい肩上げちゃダメです。
吸うときはお腹を出っぱらすだけです。
も一度やってみましょう。
って、こんなふうにやっていると、意外と思った以上に肺ってデカイんだな、と思いますね。
これだと肺がめいっぱい使えます。
よく声楽の先生なんかが「背中に息入れろ」って言い方しますよね?
背中に息なんか入るのか?
入るんですよ。
実は息を吸って肺が膨らんでいるとき、前に入っているようで後ろにも入ってるんですね。正確には背中側、ですね。
それは人間の肋骨の構造を見たらわかります。
肺は骨で覆われているんですけれども、息を吸うと後ろにもぷわーんと広がるんです。もちろん前にも広がりますよ。
1番面白いのが、横隔膜が広がると下の方に広がることです。
そのときに後ろにも増えるんです。
ですから、背中に息まわせまわせっていうんですね。
しっかり横隔膜下げて、肺を使ってあげましょう、ということです。
そしてさっきもいったように、ゆっくりした呼吸は気持ちが落ち着く。
ゆったり構えて歌うと、音をはずしたりピッチが崩れたりとかリズムをはずしたりせずにいい歌が歌えるってことです。
この腹式っていうのを上手にやってあげることで私たちの身体にもいいけれども心にもいい、そういう発声法を身につけることができる、っていう、今日はそんなお話でした。
ありがとうございます。