「その時の心に響く声の出し方」3.感謝で聴衆とつながる

俺がここで頑張らな! 私が私が!
と思っちゃった瞬間(エゴが出た瞬間)に場を忘れます。みんな。
アガります。

だからこそ舞台、場において必ず必要なものは何なの? といいうと実はそれは「感謝することでみんなと繋がる」ということなんですね。
人間って、いったん繋がっちゃうとあんまりクレーム出しません。
みんながその時の瞬間のエネルギーを分かち合いながら、どんどんみんなでフィードバックさせて、どんどん自分の中のエネルギーを上げていく、っていう、これがそういう場に集うことの意味なんです。
ここを理解してほしいです。

今日、ここに来てくれた、自分と一緒に何かをやってくれる、それに対する感謝の思いです。
これだけあったら後は勝手に声が出てくるわけです。
でも、さっきから何度も言ってますように、そこには場の理解というものが絶対的に必要です。
いまここでみんなはどういう心境でいるのか、何を求めているのか、何を待っているのか、何に共感し何に反発するのか・・・・
それがちゃんとわかれば、その場に合った声が勝手に出てきます。

①感謝でつながる
②場ができた
③聴衆とのフィードバックでパフォーマンスのエネルギーを上げる

でも、ここまできたら、さらに声のキャラクターを作っていかねばなりません。

④その役を演じ切るには?

といったら、やはり演じる人の年齢や時代背景や育った環境、いろんなものを知ってマスターする必要があります。
人間の年齢に応じた動作や所作を演じるには、老人であれば重りをつけて歩いてみるとか、自分よりずっと若い人を演じるなら身体を鍛えて筋肉をつけるですとか、そういったことを経験したり努力も必要です。
身体を鍛えて筋肉を見せることは大切じゃありません(もちろん大切なこともあります)、でもそれ以上に、筋骨隆々とした身体の人になってみることで自分のそのときの気分が変わるんです。
元気度が変わります。
背中を老人のように曲げて喋ると声もボソボソ声になりますが、背筋を伸ばして、いわゆる腹式呼吸で喉を下げて喋ると声は良くなります。
響かせる場所が変わるからなんです。
そのように、筋肉を鍛えること、発声法を変えること、姿勢を変えることだけで声も全然変わってしまいます。

年をとると声帯もだんだん痩せてきて声も出にくくなってきますが、そうなったらどうしたらいいかというと声帯の筋肉を鍛える筋トレとか、うちでも出している肌だけじゃなく喉もしっとりさせてくれる特別なコラーゲンを使うとか、噛んで唾液をいっぱい出すチュアブルタイプのビタミンCのサプリメントを齧るとか、いろいろありますが、中でも1番いいのは筋肉を鍛えることです。

ただ筋肉をつけるのがいいんじゃない。
その筋肉をもって、自分が体調のいい時、若かった時、調子がいい時、どれだけ良い声がでたか、どれだけバランスよく手足を動かせたか、それを自分で感じることが必要です。
感じて、楽しい! と思ったら、みんなも楽しくなります。
それが、その役を演じ切る、ということです。