声の筋トレって本当にあるの? 1.嗄声になる原因
歌を歌うために長年、音楽を勉強してきた人ならご自身の声にふだんから気を使っていらっしゃるでしょう。
いろんな苦労をしながらいい状態を保ち続けていらっしゃると思うのですが、更年期を迎える50歳代を過ぎると男性も女性も性ホルモンの減少が目立ちはじめ、声が出にくくなったり、声の色つやが衰えてきたりします。
この声の出にくさはどうにもならないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
正しい発声法や、声の筋肉トレーニングをマスターすればある程度の声を取り戻すことは可能です。
それにはまず、声枯れの問題となっている原因について考えてみましょう。
声帯というのは粘膜です。
粘膜というのは、いつも粘液でしっとり湿っているのですがこれが乾いていると声が出にくくなります。
声が出にくいということでポリープを疑ってクリニックに来る方は多いですが、実際に診てみるとポリープはできていないし、声帯もそんなに乾いていない、でも声は出にくい。
そういうとき、何がどうなっているのか、よ~く見ると、やはり問題が起きていることがある。
では、どんな問題が起きているのか?
声がしわがれることを『嗄声』(させい)といいます。ポリープや結節ができていて声が出ないのは当たり前です。
では、そうではなくて声が出にくいとき、ひとつにはそれは声帯が痩せてしまったことが考えられます。
痩せると声帯に溝が入る。声帯にも筋肉があって、声帯筋といいますが、この筋肉が痩せると声帯が細くなります。
これには2つあって、
①加齢による声帯委縮
②声帯溝症
①は老化によるもので、大体60も後半になってくると多かれ少なかれそうなってきます。
②は先天的なもので、子供の頃からハスキーボイスだったというような人です。
年をとってから嗄声になったという人は声の筋トレは有効ですし、また先天的な声帯溝症でも、30くらいまでは声が出ていて、30以降になって声枯れが目立ってきた、という人なら同じく筋トレは有効です。
ただし子供の頃からずっとハスキーボイスだった、という人を治すにはもう手術をするしかありません。
私もたくさんやっていますが、声帯の溝を治すいい手術があります。