「もっともシンプルな音楽療法を学ぶには?」4.自分にとっての素直な声

素直に、正直に、っていうあたりで出てくる声、素直に出す声が意外にも1番シンプルな音声療法の声になる、っていうことが多いです。

シンプルな声 = 素直な声。余分な感情、考えの入ってない声。

ほんとにそういうシンプルな声でお話をするのが、すごく相手に響く。
『ミラーニューロン』といって、『鏡の神経』というのがあります。
それは何かというと、いま自分が対峙している人の姿かたちとか声とか、相手のいろんなものがこちらに伝わる、という神経です。

ですから、誰かが気持ちいい声で「あー、今日も元気で楽しい~!」
といったとすると、それを聞いているまわりの人もなんとはなしに楽しくなってきます。

お芝居や舞台ではだいたい最後はハッピーエンドで終わるものが好まれますが、それはなんでかといったら、みんなわざわざお芝居を見に来てまで人生のツライこと、悲しい思いを感じたくないからですね。
やっぱりどこかで人は救われたいし夢を見たい。
だから最後に「よかったあ」っていう清涼感、浄化された感じをみんな感じたいわけなんです。それがお芝居に求められる。
だからいい役者さんというのは、あたかも自分がその役と同化して何かひとつのことを成した、ということをしっかり伝えてくれる役者さんです。
また、そういう役者さんの喋り方というのは非常に音楽療法的なものに近づいてくるわけなんですけれども、自分がそういういい環境の中に溶けこんでいるとき、実はほんとに身体の免疫力とか、いろんな臓器を良くするのに役に立つんです。

さあ、いったい自分にとっての素直な声、自分にとっての気持ちいい声とは何でしょうか?

それは自分がふだん、何を選んでるか見てたらわかります。
いつも自分が選んでる友達、選んでる番組、選んでる映画・・・
なんだか知らないけどいつも怪談や怖い話、恐い映画、誰かが誰かを殺すようなサスペンス系ばかり選んでるな、という人。何か暗かったり悲しかったりツライものばっかり見る人っていうのはやっぱり自分の心の中に暗く悲しくツライものがあるからではないでしょうか。
試しにいま自分がよく見ているTV番組を書き出してみてください。
前述したようなものばっかり選んで見てるという人は、ちょっと要注意です。

そして自分の声を録音してみるんです。
録音した自分の声を聴いて、「わあ、わたしの声って素敵!」って思えたらサイコーです。
反対に、いや、こんないやらしいダミ声だったんかオレって・・・。
どうしたらもっといい声出せるのかなあ、って思うかもしれません。

すっごい簡単な方法なんですけれども、いい方法があるんです。
最初は口がまわらないかもしれません。
でも、自分の好きな番組があって好きなキャラクターがいたとしたら、その番組やキャラクターを見ながら、その主人公が喋ってるのとおなじように喋る、っていう方法です。
もっとニュートラルなところに持っていこうというならNHKのニュースに合わせてアナウンサーと一緒に喋ってみるのもいいです。
そんなことをやりながら自分の声が自分の望む理想の声に近づいているかどうか自分で聴いてみる。

ありがたいことに私の場合はラジオ番組をやってますから、年じゅう自分の声を聴く機会があって、ああ、なんだかこのときはハメはずし過ぎて下品な喋り方になってるなあ、とか、ダミ声になってるなあ、とか思うわけです。
そうするとそのときの自分の心の中を思いだしてみて、ああ、あのときはなんかよからぬことを考えてた、意地悪なことを考えてたなあ、というようことを思いだしたりします。
それで後になって思うのは、たとえ喋ってる途中で意地悪なことを考えたとしても、とりあえずそれは置いといて、ストレートに喋れるように努力しよう、なんて思うわけです。
そういうことを繰り返し繰り返しやってますと、自然と素直になって、それで自分の声というのがだんだんできあがってくる。
そういった(自分にとっての素直な)声を選んで喋っていく、というのが最もシンプルな音楽療法、音声療法、だということです。