『新たにゼロの声を探すには?』5.自分の声をストックしよう ♪

ですからよく心臓移植をしたとき、いままで嫌いだったものが食べられるようになったり、また逆にいままで大好きだったものが食べられなくなったりして、あれえ? と思っていたら、それは移植された心臓の持ち主の趣味・嗜好が乗っかってきたものだった、なんて話がよくよくあります。
100%ではありません。
でも10%くらい前後の確率ではあるらしい。
ってのはどういうことか、というと、心臓というのは身体中に血液を送る器官じゃないですか。その器官の中にやっぱりその方のとってもたくさんの密なる細胞があったり密なる心があって、それがポイッと誰かの中に移植されたら、ぞの持ち主の心が潜りこんでくる、ということは十分に考えられることだと思います。それは100%証明されてはいませんけれども、仮設としては十分にあるお話なんですね。
・・・・・・っていうふうに考えていきますと、細胞のひとつひとつに心があるといったときに、緊張してたら、それはやっぱりいろんな部分の細胞がキュッとなるんですよ。
緊張してると喉はキュッてなります。

なので、感情と身体のいろいろな部分、それが声にどう反映されるか。そういうことっていうのは必ずあるので、こういう話を「ふうん」って聞くもよしやけど、それを自分でコントローできるようになるともっともっと楽しいと思います。
ですから喜怒哀楽の声を自分でつくりだして、それを自分で出す聞く出す聞く、ということをしょっちゅうやって覚えこむ、ということをするんですね。

< 中略 >

そういったなかでも日常的に常に自分自身の声を聞く、ということが大切です。
自分が楽しいときに出す笑い声、人を軽蔑するときの笑い声、笑い声にもいろいろあります。底抜けに楽しくて思わず緊張が解けるような笑いもある。逆にすごくつらくて悲しくて驚いてびっくりして声もでへんようになって、あまりにもびっくりしすぎて記憶がパンと飛ぶようなときもあります。そういうときに自分の中から出てくる不可解な笑い声、とか。その音を一生懸命名おぼえておくと、自分のオツムの中の音の引き出しの中にすごくたくさんの音が入る。そうすると他人様の前で演じようというときすごく役立ちます。
ほんとうの演技、ほんとうのお芝居、ほんとうのパフォーマンスっていうのは、あれは偽物じゃないんです。本物以上の本物なんです。本物のエッセンス。たとえ演技であっても。

実は、喜怒哀楽、いろんな感情というのは、いろんな筋肉を動かしにかかります。大概は、そういう感情というものはいろんな部分を緊張させるんです。でも緊張は緊張で、緊張がそこに必要な音色というのもあるからみなさんに伝わるのはいいことなのだけれど、ふだんから寂しいとかツライとかばっかりだとどうしてもそのひとの歌聴いてるとスカッとしない、逆にいつも変におちゃらけているようなひとだと聴いてるほうは落ち着かない。
ですからそういうあたりの音の本質というのを見極めていって自分のゼロの声をみつけておく。自分の日々のエネルギー度っていうのを測りに行く。
そうやって自分というものを見つめることができたら、他人様の前でパフォーマンスをするとき、すごく役に立ちます。