「ステージセラピー、声を使って心を知る」1.人間が持っている『集団欲』
パワーボイスセミナー 第79回
「ステージセラピー、声を使って心を知る。」
~ 歌う、踊る、演ずるという芸能を用いた心理療法を学ぶ ~
太古の昔から人は演ずるという事を通じ、心を開放してきました。
その多くは今でも民族舞踊や芸能の中にたくさん活かされています。
しかし、その真髄を知ることなく、ただ、歌うだけ、踊るだけ、という芸術レベルだけで
それを「心とツナゲル」ことをわたしたちは忘れてはいなかったでしょうか?
このパワーボイスセミナーではこれから舞台芸術全体を心とツナゲル、ということを
意識しながら、まずは声や身体の解放から始まり、心の解放へと導くことを皆さんと
一緒に勉強していきます。
今回はその第一弾、ステージセラピーとは何ぞや? というご紹介です。
そして、第80回からは、しばらくずっとこのワークショップになっていきます。
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さあ今回、パワーボイスセミナー第79回、
『ステージセラピー 声を使って心を知る』と。
これ、声だけでもないんですけれどね。
身体を使って、のほうがよかったかなあ。
ステージセラピーというのをやります。
ステージセラピーとは何ぞや? と。
歌の先生、ダンスの先生、そして演出家の先生、そういうような先生方にも聴いて
いただけたらいいなと思うし、それから心療内科の先生とか精神科の先生にも実は
参加していただいて面白い内容になってゆくかと思います。
いままでは身体の各部分、口、のど、舌とか、そういうパーツごとのお話をして
きましたけれども、こんどはそういうもの全体を使って、どうやったら心が気持ち
よくなるのかなっていう、そういうお話をいたします。
まずね、人間というのには、生理的な欲求というのがありますね。
睡眠欲、なんてのはひとつの生理的な欲求ですね。
それから、おいしいごはんをしこたま食べる。
しこたま食べたら当然ですけれども、おなかいっぱいになります。
おなかいっぱいになったらどんな感じになります?
食べるもん食べたらこんどは出さなあかんですよね?
だから排泄欲なんてのもあります。
でもその前にお腹がすいたら食べたいなあ、というのがあります。
それ以外に、やっぱり人っていうのは不思議と、人より上に行きたいとか、
名誉も欲しい、権力も欲しい、そういうようなのがいろいろあります。
そういうようないろんな欲があるんですけれども、でも基本的な欲というのは
3つあるといわれています。
そのひとつが何かっていうと、このレジュメにもありますけれど、
まずは『食欲』なんですね。
この場合の食欲というのは、お腹がすいたから食べるっていうだけじゃないです。
たとえばわたしは牛・豚は食べずに鶏が好きなんですけれども、鶏が大好き。牛や豚は
いいや! って。これね、むっちゃくちゃお腹すいて食べるものがなくなったら食べますよ、
わたし。
ね、牛や豚、食べられへんわけじゃないから。
お魚も大好きですね。
あの獲れたてのきときとのお刺身なんて大好きですけれども、今日はお刺身食べたから
明日は中華で、とか。
昨日はイタリアンだったから、今日はまあスパゲッティはやめとこうとか。
いろんなものを選びながらおいしいものを食べたいという、そういう食欲というのがあります。
これ、お腹がすいたからだけじゃない、食欲ですね。
それから、もうひとつあるのに、性欲ってあります。
これはなんていうんでしょうか、わんちゃんとか、猫ちゃんとか、動物園にいるようなほかの
動物たち、それから海や川にいるお魚たち、生きとし生けるものすべてにある意味での性欲って
あるわけです。
それはどうしてか。
子孫を残さないとその種が絶えてしまいます。
もうほんとにSEXしたくないっていうわんちゃんだらけだったら、もうあと10年もしたら
犬誰も見たことない、ってことになってしまうわけですね。
だから動物たちにはその快・不快っていうのがあるなしにかかわらずなんですけれども
基本、やっぱり何かしらの神経への刺激があって性的快感ってものが感じられると思うんです
けれども性欲ってあります。
人間には?
人間にももちろんあります。
ところが不思議なことに、人間ていうのはじゃあ、その、なんていうの、
男性はどんな女性でもいいのか、女性はどんな男性でもいいのか、っていったら
そういうわけにいきません。
やっぱり清潔だったりとか、カッコいいとかキレイとか、ぽっちゃりしてる、
ちょっとやせ型とか、もうみなさんそれぞれの好みがあったり、その人がただ単に
肉体的にカッコイイだけじゃなくてやっぱり知性もほしいとか、
ほんとにいろんなこと言いはります。
そういうような、個人個人の好みにあって、いいとか悪いとかっていうのが変わっていく、
っていうのが人間にとっての性欲なんです。
ところが、まあ、わんちゃんでもなんてんですか野犬とか、それから野良猫なんていう、
町の中でうろうろしてる連中って、まあちょっとした何匹かでかたまったりはしてるんです
けれども、でも基本、1匹で行動するんですよ。
でも人間て、そこでお父さんがいてお母さんがいて、子供がいる、兄弟がいる、
おじいちゃん、おばあちゃん、従妹に叔父ちゃん叔母ちゃん。
というような感じで家族っていうのをなしていくわけですけれども、
そんなふうに、あるひとつの集団、あるひとつの社会を持って行動します。
それはどうしてかっていうと人間て、1人ずつはそんなに強くないです。
象みたいにデカくないです。
犬や狼みたいに速くない。
だけれども、2人3人て数が集まることで、この脳みそ、知性っていうのを使って、
すごいことをいっぱい成し遂げてきたわけですね。
で、そういうようなわたしたちは種ですから、とにかく1人でいることが弱いということも
知っているけれども、なんか自然と、誰かとくっつきたい、一緒にいたいというのが
わたしたちの大きな欲望です。
それが『集団欲』っていうんですね。
集団。
集団ていうからには1人じゃ集団にはならないわけで。
孤独にならない。集団。これ複数の人がここに登場人物として出てきます。
自分。相手。時には相手2。
たとえば、わたしと、あなた。
2人いますよね。
ここでわたしたちの線っていうのは1本です。
コミュニケーションするとき。
でもこの方にも参加してもらいます。
3人になります。
たったの2人だったら1本しかなかったのが、お1人参加していただくだけで
1、2、3って、1人の参加で2つ線が増えます。
もうお一方参加してもらう。
すると1、2、3、4、最初ふたりで1本だったのが、2人入っていただくと、
何本になります?
6本。
そう、6本になるんですよね。
1、2、3、4と対角線上のも増えますから6本になります。
っていうふうに人間というのは、点と点でつきあってると、
ほんとにそのコミュニケーションの量っていうのは少ないんですけど、
ちょっと数が増えるだけであっという間に6本にもなる。
8本、100本、すぐに増えてきます。
そうするともう線で数えるのが大変なくらいに、
すなわち、面でのおつきあいになってくるんですね。
それがほんとに社会ってやつです。
うっとうしいな! めんどくさいな!
確かにそうです。
もー、どこかへの付け届けが必要やとか、なんたらがとか、かんたらとかね。
もう虚礼廃止しましょう、中元、盆暮れのなんたら、、、ああ、もういらへん! わーっ!
ってうっちゃらかしてやりたくなるゆうても、
でも絶対なくなりません。
なんでか。
人間ってのはここにありますように集団でいたがるから。
たしかに昔みたいにいまは大家族の時代じゃない、お父さんお母さん子供だけの3人、
でも子供も出てったらもうお父さんお母さん2人だけ。
でもそのうちどっちかが死んだら1人だけ。
おひとり様ってのがやたら増えてきてます。
もう結婚もしないおひとり様もいっぱいいはります。
そいうふうに1人でいるとラクか。
たしかにラクです。
でもラクだけれども、しんどいです。
それともうひとつは、おひとり様の平均寿命のほうが残念なことに短いです。
それはどうしてか。
人間の集団欲が1人だと満たされないんです。
で、そうなるとなんとか集団でいよう、複数でいよう、でも複数でいるとうっとうしい
めんどくさい、これが人間の勝手なところなんですね。
まず、いっぺんに3人4人になってくると気が狂いそうになりますんで、
Å君とB君のケンカのお話をします。
A君、B君はクラスメート。
仲良かったです。
一緒に遊びに行ったりとかおつきあいもありました。
ところが、ある日ひょんなことでこの2人はケンカします。
A君がB君となんかしてました。
そしたらB君がA君に「おまえ、アホやな!」と、「馬鹿だな」と言いました。
したら、ふつうやったらそんなにイライラすることもないA君やったんですけど
このときばかりはなんかでえらい腹が立ちました。
「なんやのおまえ、その言い方」って。
「ちょっと、どこの誰にもの言うてんの、おまえ。え?」って。ならこっちも売り言葉に
買い言葉で「なんやねん! おまえみたいなヤツはアホはアホやろ。馬鹿は馬鹿やろ。
そやから言うたんやないか。それがそんな馬鹿になんで文句言われなあかんねん」って。
ってな感じでだいたいケンカはじまります。