「超母音発声のススメ」1.母音発声の重要性とは
パワーボイスセミナー 第81回
「超母音発声のススメ」
~ 母音発声がなぜ良い発声に必要なのか、徹底的に検証します ~
今回はこのパワーボイスセミナーで過去に何度も行ってきた「母音発声」に焦点を当てて、
詳細解説を行います。
母音発声に唇の動きがとても大切なのはご理解いただけると思いますが、今回は今までとは違い、
顎の動きをさらに理解するための簡単なマウスピースを参加者全員にプレゼントさせていただきました。
このマウスピースを用いての超母音発声法をお伝えしています。
ベルカント唱法や腹式呼吸の更なる理解を深めるためにも、
ぜひご参考になさっていただけたらうれしいです。
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はい、みなさん、どうもこんにちは!
松永敦です。
今日の話題、「超母音発声のススメ」 って、こういう題名を付けさせて
いただいたんですけれども、これはどういうことかと言いますと、
まずですね、日本語、だけじゃないですね、イタリア語とかスペイン語とか、ある種の
ラテン系の言葉とか、というのはこの母音の発声いうのを非常に大切にするんですね。
で、それが語源がおんなじとか違うとかそんなん関係なく、ある種の言葉っていうのは
母音が非常に大切にされます。
もちろん、英語だってドイツ語だって、二重母音とか、いろんな音があったりするんで
それはそれで母音はとても大切なんですが、日本語の母音と言うのはですね、
「あいうえお」って5つあるのはmなさんご存知だと思うんですけど、
ここに非常にウェイトがかかっているんですね。
だからたとえば「おはようございます」ってきちんと言うから
「おはようございます」になるわけですが、
「お・・・す」っていう感じでぐちゃぐちゃっと言っちゃうと、
何いうてんのかわからへん。
だけど、まあ慣用的に使われているから「おす」って言ってても
あ、たぶんこの人は「おはようございます」っていうてんのやろうなと、
わかるわけですね。
で、なんかで頭ぺこっと下げながらそれやったときに、昼とか夜やったら
「おす」っていったら、なんか「ありがとうございます」なんかなと wwww
雰囲気、雰囲気でみなさん感じとってるわけですけれども。
で、この母音というのをきっちりやると、何が変わってくるかということなんですね。
もちろん、言葉ははっきりします。
「ありがとうございます」「おはようございます」
全然ちがう言葉なんです。
お は よ う
あ り が と う
それで、「おはよう」のほうですが、
ローマ字で書くとこうなります。
O hA yOh
お は よお
お、は、よ、う、っていうか、おはよう、ってあんまり言いませんよね?
おはよおー ですね、日本語はほんとはね。
この場合はよお音ってやつですけど、hなんかで表現します。
ありがとう。
A rI gA tOh
あ り が と う
って、これもこんな感じになるわけです。
この「おはようという言葉の)中で母音、
どれが母音かっていうと、O、A、O
ね、イヨってやったときはyも母音としてカウントするときもあるんですけど
まあ今回は「あいうえお」だけのお話としてやりたいので、
おはようについては、おあお! であるっていうことを
ここでお約束させていただきたいと思います。
ありがとうは、A、I、A、O、あいあお、になります。
で、さっきも申しましたように、この「おはよう」ってのと「ありがとう」って
やつなんですけれども、母音だけで言っちゃうと「あお!」っていうのと「えおう!」
っていうのが非常に似ちゃってるのでわからなくなります。
わからへん、というのはどういうことかというと、こっちの思ってることが
相手に伝わりにくいってことなんですね。
伝わりにくいとどういうことが起こるのかというと、不思議なもんで、
やっぱり人間って、にこっと笑う、最初のコミュニケーションとして
にこっと笑うっていうのありますね。
これって日本語が伝わる・伝わらないに関係なく、人が最初に会うとき、
知ってる人同士はいいです、家族、友達なら。
ぜんぜん知らない会ったこともない人がいきなりヌッて前に出てきたら、
「なんやこのオッサン」とか、どこのおねえちゃん? とかっていうふうに
ドキッとするわけですね。
そういうときに人は2種類の反応をします。
ひとつは、「わたしはあなたに対して敵意を持ってません。仲良くしたいと思います」
って気持ちで、にっと笑う。
もうひとつは、「なんやろ? こわいな」って言って、後ずさりしながら、
ちょっと険しい顔するっていうの。
そのどっちかです。
で、一般的な社会生活では、みんなニコっとするわけですね。
それでニコッとしてなんかしてもらったときに、ほんとにこの二つの言葉どっち言ったか
わからへんっていうと、せっかくニコッとしてもちょっと引いてしまう、、、
っていうのがあるわけです。
ところが、さらによく言葉をつかうことで、あ、この人なに考えんやろ、何やってんやろ、
というのがわかると、人は安心します。
安心すると何が起きるの?
まず、相手の思ってること、感じてること、そういうのが伝わりやすくなります。
今日ここにおいでのみなさんは、やっぱり歌を歌うとか、朗読をするとか、
言葉を出すことで自分の思ってること感じてること、これを誰かに伝えよう、っていうことを
ちょっとでも上手にするために、いうことで来てくださったと思うんですね。
その、ちょっとでも上手にするときに、さ、言葉のなかで何が大切かというと
やっぱり母音ってすごく大切なんです。
不明瞭ではない、よくわかる、自分の考えてたり気持ちが相手に伝わりやすくする、
っていうことのために、まず母音をちゃんと発声しましょう、ってことです。
お あ おー
あ い あ おー
ね。この母音がしっかりするだけでも、なんとはなしに言葉的に、文章的に
なってくるわけです。
逆に母音をいいかげんにしますと、じゃあ仮にここで「おはよお」をぜんぶOOOで
やったらどうなるの? っていうと、「おはよおー」っていうのが
「おほよおー」になるんですね。
もし仮にですよ。
「ありがとう」をもしぜんぶAで言っちゃったら、AAAAでやったらどうなるか?
「あらがた」になるんですね。
あらがた!
なんやろ? みたいな感じですね。
こちらのrとかgとかt、それからここでしたらh、yですね、
これはおなじであったとしても母音が変わるとぜんぜん聞こえてくる耳には
感覚が変わってしまいます。
よくね、大阪、
これは面白いところなんですけれども、大阪をOSKって書いてみたりとか、
たとえば関西インターナショナルエアポートをKICって書いたりするときには
なんか上手にピッて子音が入ってきたりすると、なんとはなしにふんふん、
あそこのことかいな、何かなあ、とかわかっちゃったりするんでけど、
でもやっぱり、音でくるときは、母音がしっかりせえへんと
これ非常に物事わかりにくいってことになります。
でもその逆にこの母音をしっかり発声すると、
お あ おー
あ い あ おー
っていうふうに、なんかつたわりやすくなってくるんですね。
ということで、いろんなところでお歌を歌うとき、それから演技をするとき
母音をとにかくはっきりしましょう、ってことになります。
ところが、これを誇張しすぎると、こんどはすごく感情が乗らないときがあります。
ここで母音をぜんぶ赤丸で示してみました。
YUU YAKE KOYAKENO
ゆ う や け こ や け の
A KA TON BO OWA RETE
あ か と ん ぼ お わ れ て
MI TA NO HA ITSU NO HI KA
み た の は い つ の ひ か
それですね、まずこれをみなさんにいろいろちょっとずつ
声に出していってもらおうと思います。
えーとまず1行め、ゆうやけこやけの、っていうところをちょっと
読んでみてもらえます?
ふつうに。
ゆうやけこやけの
はい。そうです。
そしたらこんどはこの母音のところを誇張してやってもらえます?
ゆう! やあ! けえ! こお! やあ! けえ! のお!
はい。そうです。
じゃこんど、2行めいってみましょか。
まずかるーくいってみましょう。
あかとんぼ おわれて
はい、それをいまみたいに母音のところをちょっとプッシュして、
ああ! かあ! とお! んん! ぼお! おお! わあ! れえ! てえ!
って、ちょっとやってみてください。
ああ! かあ! とお! んん! ぼお! おお! わあ! れえ! てえ!
はい、そうですね。
これね、いまちょっと母音をお二人に誇張してやってもらったんですけれども、
とうぜん誇張してやると変ですよね?
ところが、これを変じゃないように上手に母音を明瞭に言うことで、
発声にいい効果を与える、ってことを後でやってまいります。